AGAの治療には大きく分けて2種類の薬、プロペシアとミノキシジルがあります。これらの治療法は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年」において、男性型脱毛症の治療で、フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)、ミノキシジルの外用治療のそれぞれが、推奨度Aでした。プロペシアはⅡ型5αレダクターゼを阻害する薬品ですが、ミノキジシルは毛母細胞周辺の血管を拡張させ、血液を細胞に行き渡らせる効果があります。
今回は、AGA治療に好ましい生活習慣や運動。ジョギングについてお話させていただきます。
有酸素運動が、どのように毛母細胞に働きかけるのでしょうか。ジョギングは、薄毛に悪影響を与えないのでしょうか。
ジョギングとAGA
ジョギングの定義を確認してみましょう。厚生労働省や文部科学省のホームページを確認しましたが、ジョギングの定義が掲載されておらず、困ってしまいます。wikipediaによると時速9.6km/h以下で走るとジョギング、それ以上の速度だとランニングになるようです。健康の為にジョギングしているつもりが、身体に負担をかけて不健康になった…という事が無いように、ムリのない範囲でジョギングしましょう。
では、ジョギングによる身体の変化とは何なのでしょうか?
人は運動を始めると、心拍数が増えて、息が切れ、やがて体温が上昇し汗をかくという状態は、誰でも経験した事だと思います。食べ物から摂取したブドウ糖を燃焼させて運動に必要なエネルギー源であるATPを筋肉で生産するには、血流から酸素を筋肉に常に送り続け、二酸化炭素や乳酸などの老廃物を常に排出し続けなければなりません。この状態が有酸素運動と呼ばれます。瞬発力のある無酸素運動では筋肉は乳酸を産生してしまいます。乳酸は疲労物質で心拍数の向上や息切れや、筋肉痛の原因とされています。しかし、有酸素運動・無酸素運動ともに肉体には必要なもので、無酸素運動が悪いという訳ではありません。主に有酸素運動は脂肪燃焼、無酸素運動は筋肉増強です。今回は、血液循環に好ましい有酸素運動にスポットを当ててみましょう。
毛母細胞の活性化にも、豊富な酸素と栄養分が欠かせません。ジョギングが栄養不足になっている毛母細胞に豊かな栄養と酸素を届ける役割をしているのです。さてここで、人体が発熱すると皮膚表面の血流を増加させ、外気に暖かい血液を触れさせ冷却します。しかしそれでも冷却が望めないときに皮膚から発汗し、その気化熱で冷却を行います。運動をする事により、体温が上昇し皮膚部の血流が改善するのです。
頭皮の汗に注意しよう
ジョギングに慣れた人やスポーツパーソンは、発汗作用が発達しており運動開始後すぐに汗をかけるようになります。頭皮の毛包周辺には汗腺があり、これが汗を発生させます。汗によって頭皮がアルカリ性になり、一般には頭皮にとってよろしくない状態です。しかし、ジョギング後はお風呂やシャワーを浴びて洗い流せばいいので、そこまで神経質に発汗を嫌う必要はありません。洗い流せば良いだけなのです。
紫外線に注意しよう
もう一つ問題が紫外線です。頭皮は顔面の2倍以上の紫外線を浴びています。紫外線は活性酸素を細胞内に発生させ、細胞壁を傷つけ、老化の原因にもなります。毛乳頭が紫外線に晒されると抜け毛の原因になりますし、髪の毛が紫外線に晒されると、パサつき、枝毛、白髪や悪臭の原因にもなります。紫外線をイメージするとき、真夏の強い日差しを思い浮かべる方もいると思います。しかし、季節に関係なく紫外線は常に降り注いでいます。冬であっても、日中にジョギングをする場合は、キャップを被って日光を避けましょう。
紫外線対策
日中にジョギングをする場合は帽子(野球帽:キャップ)を被りましょう。
また、育毛剤の中には頭皮ケアに有効な成分が配合された物もあります。頭皮の保湿に注意してみましょう。
ストレスもAGAの原因
上記のように、気を付けるポイントもありますが、ジョギング最大の美点はストレスの解消です。ストレスを感じると血管が細くなり血流量が低下します。血流量が低下すると、頭髪に栄養が行かなくなり、髪を育てるヘアサイクルの成長期が短くなってしまいます。ストレスを軽減するという事も念頭に置いてみて下さい。そして適度なジョギングはストレス発散に効果があります。
男性型脱毛症で髪が薄くなってしまって、そこが気になってさらにストレスを溜めてしまう…という悪い循環を断ち切りましょう!まずはストレス発散と運動量増加して、血行を良くしましょう。
もちろん、全てのジョギング愛好者の髪がフサフサ…という訳ではありません。男性型脱毛症は複合的な原因によるので、運動だけすればすべて解決という訳にはいきません。健康的な習慣を確立したら、次はプロペシアとミノキシジルでAGAを克服しましょう。