フィナロとはインドのインタス社によって開発されたプロペシアのジェネリック（後発医薬品）です。2006年に設立された同社は泌尿器や消化器に関連する医薬品などを主に取り扱っています。日本ではあまり馴染みのない製薬会社ですが、2010年には抗がん剤「イレッサ」の開発で知られる大手製薬会社アストラゼネカと新興市場向けの一般薬販売に関するライセンス契約を結ぶなど、世界市場において成長著しい製薬会社です。プロペシアのジェネリックは国内、国外問わず様々なメーカーから製造・販売されています。海外製のものでは「フィンペシア」や「エフペシア」国内では東和薬品からフィナステリド錠0.2mg/1mg「トーワ」クラシエ薬品からフィナステリド錠0.2mg/1mg「クラシエ」など、多くのフィナステリド製剤が発売されています。
AGAとは
テレビCMなどでAGAという言葉を耳にしたことはないでしょうか。AGA（エージーエー）とは「Androgenetic Alopecia」の略で男性型脱毛症を意味します。AGAの主な原因は遺伝や男性ホルモンの影響によるものと考えられており、思春期以降に頭頂部や額の生え際から薄毛が進行していきます。AGAは一時的に薄毛の症状が出るものではなく進行性のものです。そのため何も対処せずに放置してしまうと髪の毛は減少し続け、徐々に薄毛が目立つようになります。薄毛の進行を止めるためにAGA治療は早めの対処が必要です。
ヘアサイクルについて
AGAは治療を開始してから効果を実感するまでに長い期間を要します。根気よく治療を進めるためにも、ヘアサイクルの仕組みを把握しておくことは大切です。ヘアサイクルの過程には大きく分けて、成長期・退行期・休止期があります。成長期は2年~6年の期間で、髪の毛が作られる時期です。髪が伸びるのに必要な栄養が毛細血管から取り入れられ、毛母細胞の分裂の繰り返しにより髪の毛が成長します。退行期になると毛母細胞の分裂が衰え、髪が伸びにくくなり、黒髪のもとになるメラニン色素も作られにくくなります。休止期に入ると細胞分裂が行われなくなり、髪の毛は一切伸びなくなります。成長が止まった毛は新しく成長期を迎えた毛に押し上げられ抜けていきます。3ヶ月前後の休止期が終わりを迎えるとまた成長期に入り、次のヘアサイクルに入ります。髪全体の90%が成長期とすると退行期、休止期はそれぞれ5~10%の割合となります。
フィナロの成分と効果
フィナロに含まれる「フィナステリド」は1997年にAGA治療薬として米国FDAから認可された成分です。もともとは前立腺がんや前立腺肥大の治療薬として開発されたものですが、投薬患者に髪の毛の再成長が確認されたことから、研究が重ねられた後、AGA治療薬として製造・販売されるようになりました。フィナロの有効成分フィナステリドはAGAの要因となるジヒドロテストステロンという物質の生成に必要な5α還元酵素を阻害する働きを持っています。5α還元酵素が抑制されると抜け毛の原因となるジヒドロテストステロンの生成が止まり、薄毛の進行を防ぐことができます。また、男性ホルモンの過剰分泌も抜け毛の原因の一つとなります。フィナステリドにはホルモンバランスを正常化する作用もありジヒドロテストステロンの抑制作用と共に、抜け毛や薄毛の治療において有効な治療薬といえます。
フィナロの服用方法
フィナロはプロペシアと同様に1日1回服用しましょう。食事の影響は受けないので、ご都合に合わせて服用してください。フィナロは即効性のある薬ではない為3~６ヶ月服用を継続する必要があります。育毛効果に関しては個人差があるので、3か月で効果が現れる方もいれば、半年かかる場合もあります。最も重要なのは継続的に服用することです。AGA治療は長期的な治療になりますが、飲み忘れや途中でやめてしまうと本来得られるはずの効果が期待できなくなってしまいます。
副作用について
フィナロ（フィナステリド）は男性ホルモンに直接関与する為、勃起不全や性欲減退、うつ病などの副作用が報告されています。2013年にイタリアで開催された「ステロイドおよび神経系に関する国際会議」では、フィナステリドと性欲減退との関係性を示す研究結果が発表されています。また、元々の体質によりフィナロが合わない場合もあります。副作用が強く出過ぎたり、日常生活に支障をきたすレベルであれば速やかに専門のクリニックなどで医師に相談しましょう。
個人輸入の危険性
近年インターネット上などで簡単にAGA治療薬を購入することが可能になり、その利便性から個人輸入代行のネットショップも増加しています。中には有効成分が全く含まれていないものや、服用すると重篤な健康被害を及ぼす粗悪品が出回っているのも事実です。適切なAGA治療を行うためには専門のクリニックを受診し、医師による診察を受けてから治療を開始しましょう。
